7年掛かりで完成したスポーツスターは期待した以上に速い上に、街中でも峠でも驚くほど扱いやすい。何処にも不満の無い状態になるまでかなりの時間、労力、コストが掛かったが、済んでしまえば過去のこと。そして今や妻や長男を交互に乗せてドライブしたり、交差点のスタートダッシュでは、あまり回転を上げずに簡単に轟音スクーターをブチ抜いて遊んだりとタップリ楽しんでいるが、それでは、このバイクは、いったいどの程度、絶対的に速いのだろうかという素朴な疑問が沸いてきた。最高速は低めに設定したレブ・リミッターの関係で210km/h止まりだが、そこまでの到達時間はとても早い。だったら、一度ドラッグレースなるものに参加して、実力を公式に確認してみるのも良いだろう。ただし条件として、一切のドラッグレースに有利な準備はしないし、練習もしない。勝ち負けでは無く、平素の実力チェックだから。

1.タイヤは7年前のツーリングタイプで、ハイグリップタイプに変更はしない
2.タイヤの空気圧も3.2kgのままで落とさない            
3.準備体操ともいえるバーンアウトもやりたくない            
4.ガソリン添加剤も入れない                      
5.スタートでもあまり回転を上げずにいつものクラッチミートを心がける  
                      

とりあえず、レギュレーションのドレンボルト、アクスルシャフトとブレーキ・キャリパーサポートのボルトにワイアリングをガレージ輪クスさんでやってもらった。ちなみに、エントリーしたクラスは排気量無制限、エンジン改造無制限、ターボ、スーパーチャージャー、NOS(亜酸化窒素)取り付けOKと、かなりのハイクラスで、そこまで本気でやるヒト=エントリー数は少ないが、どれも本気モードのドラッグレーサーであり、ナンバーが付いていても、それらで街乗りやツーリングは行けないだろう。


ゼッケンはA4ラベルシールをインクジェットプリンターで印字して、UVカットフィルムをラミネートして、楕円にカットしたABS樹脂の板に貼り付けた。
*何でUVカットか?このゼッケンを車体装備の一つとして、取り外さず今後常設にしよう。コレもカスタムデザインのひとつだ!多分街中ではでは目立つだろうなあ。





レーサーの雰囲気は無いなあ。カスタムバイクのコンクール出品車と思いたい!
でも、ノーマルなのは、ウインカーランプと、フレームと、シリンダーぐらい。



朝が早すぎて、コレは体が一日持たないぞ。まあ、早い時期に予選敗退だろうが、もし勝ち進むと夕方まで帰れない!コレはタイムが良かったら、そこで納得して、体調不良で途中棄権だなあ。

あらかじめ、知り合いのハーレーSHOPと車屋さんや、アメ車好きの知人に行くかどうか問い合わせるが、だれも行かないようだ。せめて、予選でスタートする瞬間でも誰かデジカメで撮って欲しいなあと思いつつ、ミクシィに出走を書き込みしたら、浜松の方が参加するようで、ご厚意からブースへお誘い頂いた。



問題発生!
前日にレギュレーションを読み直していたら、参加するプロストリートクラスはヘルメットはフルフェイスが必須。えっ!フルフェースは持っていない!
慌てて、行きつけのNAPSでは無く、一番近いドライバースタンドにりん館の溝の口店へ長男とVESPAで乗り付け、シンプソンSB13を買う。




スターウオーズのトルーパーのようで、前から気になっていた。





レースだ!

朝3時半に自宅を出て、サーキットの朝5時開門に間に合った。そして、6時半からフリーフィングと終了後に車検、8時〜1本目のレースがスタート
自走で来る個人参加者は殆んど無く、多くがSHOPかクラブのトラポンでの持ち込みだった。それと東名を御殿場で降りて264に出たところで、フェンダーに何かが擦れるようなホイールからの異音が出てきた。ゴリゴリ音はキャリパー関係では無く、多分ベアリングが逝ってしまい、粉砕したのかも、、、、走行中の車輪ロックが心配だったが、まあ力関係から大丈夫だろうと玉砕覚悟で、かまわずレースに進んだ。



スタートライン



朝から日差しは強く、一日で日焼けした。レースはトーナメント方式では無く、各クラス混在で、2台ごとに並んで競争する。



長蛇の列も、ゼロヨン競技は十数秒で決着がつくので、ままあ流れは速いがスタート待ちで相当に日焼けした。スタート直前には、バーンアウトという車輪の空転でタイヤを暖めるのが流儀だが、私はやらなかった。それは参加の目的が、あくまでも普段の走り方で、どの位の速さかを試す為だから。



この画像は、当日の設備スタッフで、同じスポーツスター乗りの方から、ミクシィ経由で頂いた。



正確にはスリーアンバーという3つのランプが点灯したらスタートで、反射神経が勝負だ。そしてレースは、そのレスポンスタイムと、400m走行タイムの合計で勝敗がつく。朝2回、昼2回、午後2回の3ヒート実施だが、私は体力の限界に近づくと判断し、朝、昼のヒートだけ参戦し最後の午後ヒートを放棄して2時過ぎには帰路についた。とにかくスタート待ちの間の路面からの照り返しが暑くて、休憩中はブーステントの日陰を提供頂いた浜松の方にとても世話になった。さらに帰りの東名は渋滞で、帰宅後数時間は呼吸も辛いほどヘロヘロになった。さらに熱中症対策で2L以上摂取した水分と、早朝からの食事はおにぎり2個だけだったので、帰宅後下痢と最近多発する嘔吐(逆流性食道炎)で1kgも体重減となり、さらに普段は疲れやすい体なのに、何故か興奮が醒めず深夜まで眠れなかったし、日焼けで皮膚も火照っていたが、なんとか生きて帰ってこれた。多分二度目は無いだろう。コノHP記入&UPも翌日の午前4時だ!


で、どうだったか?
1.合計4本走ったが、全てで出遅れ、ライバルに大きく先行されたが、後半のターボが効き始めると、グングン追いつき、4回共差し返えした。*ライバルはターボ無し 
2.合計タイムの13秒は参加クラスで最下位だっただろう *みんな大爆音で、本気モードのドラッグレーサーだったが、私のは街乗りやツーリング&峠仕様だし    
  3.私のレースエントリーを知った、知人のNさんから電話を貰い、心配していた彼の近況を知り安心した。Nさんは主催したV.D.A.にも関与していたとのこと      


でも、私には 
1.サーキットで思いっきりぶん回せるのは楽しいし、何よりもバイクがきっちり仕事をしてくれるセッティングに仕上がっていることが確認出来たのが大きな成果だった
 *ただし、ベアリングのリテーナーが割れたのと、帰宅するとインタークーラーへのパイピングが外れていた!
2.ゴールポスト通過後、1コーナーからヘアピンまでのサーキット走行がご褒美で、こちらも楽しかった!(タイヤ右のエッジが綺麗に剥けた)            
3.ゴールの400mポストでは180km/hに達していた。 *0〜200mはスタートがトロイし、ライダーも鈍いが、200m〜400mは結構良いタイムだった 
このことは、他のターボ無しのスポーツスターと比べると、それほど悪いタイムでは無いと私は思っている
4.他の車両は殆んどが爆音であり、私のスポーツスターは、私が目指している街乗り、ツーリング&峠仕様なので、どの車両よりも静音だった。            
 
で、またやりたいか? 
 1.個人エントリーで自走での参加は希で、真夏の参加はさらに遠方だと、体力的に私には無理だろう    
2.思いっきりきりぶん回せるのは楽しいが、レースに勝つために、さらなる改造を加える予定は無い   
 

でも、まあ面白い体験が出来た!
さらに、レース実戦でさらなる改善点(ベアリングとターボのパイピング)が出たのも熟成を重ねる上で収穫だった。
外装品のポン点けカスタムと違い、アマチュアビルダーがリスクを覚悟の上で、エンジンや足回りの基幹部分まで弄くっているので、『壊れては対策をする』の繰り返しで7年が経ってしまったが、、



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