罹災履歴

そもそも、昭和63年に隣家からもらい火で自宅が全焼

当時取材を受けたのは前妻 強風で消防車の放水が大きくカーブして、鎮火まで3時間も掛かった。その日は荒川区に営業車で出ていて、アマチュア無線を趣味で付けていたので、知らせを聞いて駆けつけたが、上空をヘリコプターが飛び交い、渋谷から煙が見えた。出火原因はガス自殺だった。火事場の整理で苦労して以来、燃えた木材を水で消した時の臭いがすると、この火事の事を思い出す。




借地は火事で権利が消失するので、火事の当日に地主へ土地を売って貰うべく申し入れた。続いて仕事でゼネコンに出入りしていたので、東海興業の下請けに解体を依頼。さらに、ハウジングメーカーも取引があったので、大栄プレタメゾンと宇部興産で建築を打診し、PC工法で発注。ちなみに母からは一切の経済援助は無かったが、その後頑張ってローンは数年で完済し、念願のポルシェとハーレーを我が家に迎えたが、その十数年後には、今度は家族が出て行った!私の人生には中学生で父を亡くして、初婚後罹災して、リストラ+発病から家庭崩壊まで、3回の転機があったが、いずれも何とかリカバリーしたなあ。




当時は考えられる最良を選択したつもり ちなみに2F床スラブは現場打ちで220ミリもある!


上記のように1987年に自宅を新築して、同時に2Fに完全防音のオーディオルームを作ったが、2010年、人生の終焉に近づくに連れて【広い部屋で映画と音楽を分離して楽しむ】ことへの願望が高まり、遂に3Fにオーディオルームを造る計画に着手したが、20畳の広大な広さの計画には色々な無理が出てきた。当初は躯体(基本構造)はコンクリート(RC)を予定したが、新築時の宇部興産住宅が業務撤退で強度計算書が見つからず、軽量な構造を選択せざるを得なくなった。さらに建築基準法の北側斜面、地区の高度制限により12畳の部屋しか出来ないことでスタートから【広い部屋】は断念をせざるをえなくなってしまった。だったら(コストを気にせず)既存の工法で最強を目指そう!


   
変更後のプラン12畳  モニターは小さいほど音楽に集中出来るのでイイ。壁は鋼板をそのまま貼る!


つまり映像=映画はストーリーを大画面の迫力が表現しサラウンドや重低音がそれをサポートするが、音楽ライブ等は本来、音楽を【良い音で伝える】のが主役から、プロモーションビデオの拡大と共にか? いつの間にか良い音が脇役になった感じがしている。とにかく音楽ライブものでは画像に神経が行ってしまい音楽を楽しんでいない状態になる気がしている。そこで音楽をピュア2chステレオのみで、画像は9インチ超小型モニター(KVー9AD1)であくまで脇役にさせる計画を立てた。つまり2Fで映画、3Fで音楽だ。注3Fは結局モニター無し!さらに数年後に3D映像が普及したら、方針転換で3DのDLPプロジェクターを入れるんだ。なあ〜んだ結局3Fでもビジュアルやるんじゃん!やっていません。



2010.04.06 工事に着手
2010.10.15 ほぼ完成 


スタート直後に世田谷区の建築審査課のチェックが入り、各種強度計算書など50枚程の追加書類を自分で提出し、やっと建築継続がオッケーされたが、最初の大工さんは傾斜壁の意味すらわからず施工もメチャクチャで無駄に人工が掛かり交代、次の手は最初から人工喰い目的の金稼ぎのカモにされて、たまらずに交代。この時点で受けてくれたリフォーム屋さんは100万円以上の赤字。さらにこのリフォーム屋さんが他で大きく不渡りを喰らって自主廃業!!!
3組目はネットで立川の業者を探すが急に人手が手配できず現場を食い散らかして結局放置、4組目を自分で探してなんとか完成までこぎつける。思えば半年以上を詳細設計&施工監督+手元(施工手伝い)で浪費した。ウインチを鉄塔に常設し、搬入や廃材処分も自分で手配し、2トン車を4回呼んで廃棄。併せて屋上防水、外装全体(塗装)もワイケレアウトレットの色使いを真似て塗装。元部下の絶大なる資材提供力でメーカー各社とも直接情報収集。業者におまかせで建ててもらったというよりも、職人さんの協力で自分で建てたような満足感は大きかったけど。色々と面白かったが疲れた。妻も毎日の職人さんの賄いで疲れたようだった。




  
挫折した当初の計画20畳  


30年以上前にホームビデオが登場し普及して以来、それまでの音だけの世界に映像が加わり、良い映像を良い音がサポートするという主役の逆転が起こってしまったようだ。我が家でも1980年にSONYのプロフィールKX27モニター(当時の大画面)導入で同じようにオーデイオからビジュアルへ主役の入れ替えが起きた。やはり聴覚より視覚の方が人間には安直に受け入れられるのだろうか?視覚はストレートだが、音楽はイマジネーションの世界というか、とにかく変な話かも知れないが音楽に画像は不要かもしれないと最近思うようになってきた。というのは、最近ポータブルDVDプレーヤーで音楽ライブを楽しむときはモニターを閉じて(CDプレーヤーの様に音楽に集中して)楽しんでいるからだ。

           変更後のプラン12畳  モニターは小さいほど音楽に集中出来るのでイイ。壁は鋼板をそのまま貼る!



ビデオ編集用に小型モニターが2個余っている *結局捨てた  






さあ、プランニングだ! RFP(用件仕様書)をキッチリ作ろう!

先ずはRFPとラフスケッチ図面を作成する。


試しにリクルートと大阪ガス、NTT東日本、西日本が運営するサイトに参考までに掲載してみる

いつものように下請けぶん投げで、上代請求のコーディネート屋さんらしき業者サンしか応答が無く、コストも500万円以上が相場とのことで即キャンセルした。建築資材の商社に25年勤務していたので(ぼったくりの)内情は熟知している。結局ちょっとしたコネで薄利で頑張れそうな職長さんと直でやる。材料の見本帳は、昔の元部下が速やかに揃えてくれた。また材料メーカー数社の技術者とも直接電話で相談して資材の選択を進めた。

2010.03.15
結局前述のリフォーム会社の下請けを主とする会社の職長さんの取りまとめの基で、先ずは足場の組み立てと、屋上の防水層のやり直しを契約。

同時に基本構造を選択する
RC(鉄筋コンクリート)が無理となると、今回は単純な小屋の建築になるので、結局在来項となる。



しかし、そのままでは低音はジャジャ漏れだし、工期もかかるし大工さんの腕にも依存して、タダの木造では何も面白くないので検討の結果、躯体の基本構造を軽量鉄骨の工場生産とし、その他を現場施工とする工法で落ち着いた。

これは旧日本鋼管系(今のJFE)だったハウジングメーカーのエヌケーホーム(2002年自主解散)が採用していた工法で、部材を工場生産し、亜鉛メッキして現場で一日で組立ててしまうというものである。構造はターンバックルのブレスがあちこちに有り、見るからに強靱。JEFは関連会社でセミナー講師をやっていたので知らないわけでもないし、ラフスケッチで図面まで起こしてくれるので都合がいい! 直接メーカー担当に電話し私の勤務先を窓口に商流を整えて即発注。クレーン納品込で税込609,000円(コレで坪当たり10万円が消えた)それと自分の会社名義で建材各社へ電話出来るのはとても助かるなあ。(納期30日)


ただし、このフレームキットは内外装の下地に木軸を現場施工となる。現時点では、流行りの『外壁断熱』を採用予定。







屋根の厚みは約200ミリ



壁の厚みは何と約400ミリもある!

グラスウールの充填はやめてウレタンを考えたがフロンを使わない水発砲のウレタンは(地球環境には良いが)湿気の面でやや問題があるようで、アイシネン というレジンをイソシアネートで100倍に発砲させた充填方法を試す。
壁下地はコンクリート打ちっぱなしが良いが、今回も22年前の新築時と同じサンダムADボードにした。複合材のなので、コインシデンス効果(特定の周波数で共振)が出にくいのがイイ! ピッチ300mmで木枠下地にビス止め(グラスウール充填) アイシネンに変更。


さあ、工事だ!その前に

2010.03.21 昔やっていたアマチュア無線の機器をオークションに出したら何と8分で大田区の方へ落札され、翌日に


屋上に散らかっているアマチュア無線のアンテナとケーブルを撤去。ケーブルは資材買取で銅の高騰で11,500円になったとのこと。



次は足場だ



2010.03.15 とりあえず足場を組む  
外装は23年間の汚れが目立つし、屋上のシート防水は既に破断していた。もう少しでモルタルの鉄筋がやられていただろう。



構造は
1.そのままの構造で三階建てが可能なほどの強度がある鉄骨を基本構造とし                               
2.さらに狭い30センチピッチで太い木軸間柱をロングボルトで締め上げて抱かせる壁を傾斜させる                    
3.外部はその上に分厚い24ミリの構造合板に通気層と25ミリのサイディングで外張り断熱                       
4.室内は20〜30センチの中間空気層に発泡を充填させて、内装ボードは25ミリのサンダムADボードに1ミリの鉛シート        
(鉛だけで800kg)をレントゲン室のように貼り合わせ、内装仕上げは超高音域まで音が反射するように0.15ミリの亜鉛鋼板   
5.サッシは6.8ミリの網入りと10.5ミリの防音ガラスサッシを壁の厚み分だけ(上から見て)距離を置き、傾斜させてW使いとする。  
6.各部を綿密にコーキングとデットニングしがら、オーディオルームとしての3要素(遮音・防音・造音)を外壁断熱で実現する。      
7.合板とヒバの柱以外はすべて私からの支給材                                            


完成後、残響周波数特性を見ながら、昭和電線の吸音板と足場パイプを切断してパイプオルガンのように並べて、低域の定在波を(ヘルムホルツ共鳴で)減らしてベストな部屋を作ろう。目標はラジカセが抜群の音で鳴ることだ! 併せて、もうオーディオ機器マニアは卒業しよう。


フラッターエコー解消のため、何が何でも天井と壁面は長年の夢だった傾斜の非平行とする。天井も8度傾斜のV字型とする。大工さん泣かせだ!



  立体的に見るとこんな部屋。



2Fオーディオルムでの経験から残響特性の理想値(赤線)を目指そう!とりあえず音を吸収せず、全ての周波数で反射させる構造とし、その後で音を聞きながら周波数ごとに吸音材と鉄パイプで整える方法をとる。とにかく薄い壁やカーテン、カーペットなどが部屋の良い響きへの最大の障害なのだ!

1.躯体がコンクートでは無いので、低い周波数は共振して消えてしまうか、逃げてしまうので、鉛や複合材を多するのと鉄骨を利用して壁はできるだけ強固にしよう。
2.床はボンつきを抑えるためコンクリートのままか、Pタイル程度にする。ドリフトラジコンもしたいし、、                          
3.壁仕上げはクロスではなく薄い鋼板を貼って、超高域まで反射させる。                                          
4.天井は屋根の傾斜(6寸勾配)のままとして、高い断熱性とフラッターエコーを抑える                                   



使用予定資材 (建築費は坪単価で軽く100万円を超えて現在増加中!)

2010.04.02 ケミカルアンカーを専門業者さんに依頼する。



4月8日大工さん打ち合わせで、壁下地はコンクリート打ちっぱなしが良いが、今回も22年前の新築時と同じサンダムADボードにした。複合材のなので、コインシデンス効果(特定の周波数で共振)が出にくいのがイイ! ピッチ300mmで木枠下地にビス止め(グラスウール充填)



ん〜ん 計算すると一部屋で800kgになるなあ



結局バカ高いF50も買った。



4月7日アンカー工事



ユニックで搬入



組み立ては半日


搬入当日、早速世田谷区の建築審査課が飛んで来て
早速建築にストップが掛かったた!小雨の降りしきる中、鉄等を登り北側斜面の高さチェック!
結果、各種図面や強度計算書を出すようにとのこと。そうだ、私は建築確認申請無しで大工さんと姑息にやろうとしたのだ!




直ちに50ページほどの資料を徹夜で作成し建築の継続はOKとなった! 後日思うとこの時が難関ベスト3の一つだろう




ブレスだらけで、見るからに頑丈だ



間柱は45x190を30.3ピッチ



 部屋の中にCチャンとブレスが露出も全く気にならない。



  中間空気層にはアイシネンの厚吹き(30万円) 100倍に発泡する






  壁、天候はすべて傾斜だ!
ここまでで職人さんは(技能の問題で)3回入れ替わった、傾斜壁はみんな未経験らしい



内装下地も24ミリの構造合板、この上にサンダムADの25mm遮音ボード これで、6坪(12畳)の小屋のボードだけで1,2トンになった



ネットで探した職人さん(元ヤンキー)が一切文句を言わずに精力的に仕事をこなしてくれて、順調に進んだ。
室内は前述のサンダムADボード25ミリに0.15ミリの亜鉛鋼板(これで石作りのヨーロッパのコンサートホール並みに超高域まで反射させるんだ)





      コアドリルで開けて、デッキプレートはセパソウでカットして、出入り口を作る。


アルインコの1万円のハシゴにスライドレールをつける。我ながら素晴らしいアイデアだ!

     スライド式階段  左=収納時         右=使用時            
   


開口部に特注で作った3ミリSUSの点検孔をはめる 手すりはビバホームで買ったタオルハンガー



3歳児もらくらく登れる



    壁は太い竹で拡散をさせよう 共振防止にモルタルを充填



12センチのコースレッド・ビスで竹から壁に先端がやっと届いた!



 床は石目模様の店舗用3ミリ樹脂タイル  職人さんは元部下が手配 施工後ウレタンワックス塗布でツルツル。



   外装はワイケレのモールをイメージしてカラーリング



2F屋根の広場にはSUSの手摺りを付ける予定 壁に椰子の木をオブジェで飾ろうとしたら40万円なので、その分で代わりにハワイに行った。


2010.09.10 仕事関連でお世話になっている会社にミニチュア展示用のSUS棚板を無償で作ってもらう



続いてガラスの発注だ。
--------------------------------------------------------------------------
   品  種 = 透明ガラス5ミリ 厚み 5mm 横 1013mm X 縦 1085mm
   形  状 = 四角形
 切断面の処理 = 糸面《C》
 その他の加工 = 穴あけ 10φ×3ヶ所
     単価 = @9,297 円
     数量 = 1
     金額 = 9,297 円
--------------------------------------------------------------------------
   品  種 = 透明ガラス5ミリ 厚み 5mm 横 1012mm X 縦 960mm
   形  状 = 四角形
 切断面の処理 = 糸面《C》
 その他の加工 = 穴あけ 10φ×3ヶ所
     単価 = @8,846 円
     数量 = 1
     金額 = 8,846 円
--------------------------------------------------------------------------
 商品代金合計 = 18,143 円
 送料・梱包費 = 5,500 円
--------------------------------------------------------------------------
   合計金額 = 23,643 円   (税込)
--------------------------------------------------------------------------


ひと足早く出来上がった耐衝撃ガラスとオール3ミリSUSで作ってもらったジュエリーケース これから3重のセキュリティとセコムを契約予定。


E−Bayで集めた1/10バイクを飾る



約20年前から集めていたポルシェのミニチュアに、思い出深い無免許で15歳の頃静岡の山中で乗ったバイクや、初めて買ったバイクのミニチュアなどもディスプレー
*この後ごっそり増えた!



後日都税事務所から航空写真の調査が入り、世田谷区の建築審査課で待ち合わせて増築した建築内容の説明を行う。結果、固定資産税は2万円/年弱だろうとのこと、1,2F本体はコンクリートで償却60年だが、3Fは25年とのことで一安心。既記のように、約9年前まで建材の商社に25年いたので、未だに付き合いのある元部下も協力してくれたし、その商社の威力で建材メーカーの営業を現場に直接呼んで(昼飯をおごって)協力を得て材料を選定し自分で設計を行い、現場監督と材料発注、搬入手伝い、職人さんのお手伝いや毎日の昼食などの全てを、妻とともにこなした。当然苦労もあったし、何度も挫折しかかったが、完成ずれば、自分で建てたという満足感と共に、すべてが楽しい思い出となった。



100%生活に必要の無い部屋。でも、この無駄さ加減が、豊かな人間性を育む!?




スロットカーを親子で楽しむ。